

SOLD OUT
warmer warmer
2019年 アノニマ・スタジオ
B5判 ソフトカバー 160ページ
ーーーーーーーー
身近な植物に目をむけ、姿かたちを愛で、生き方に興味をもつ。
そういえば。
いちばん身近な「植物」である野菜について
全然しらないことに気づく。
にんじん、ねぎ、ごぼう、大根
彼らはどんな花を咲かせるのか。
種のかたちは?
どのくらいで芽が出て、食べられるようになる?
野菜についての問いは
自然のあり方もそうだけど
そのままわたしたちの生き方や社会にもつながっていく。
*
本書の著者は
種から育った伝統的な野菜(「古来種野菜」)
だけを販売する八百屋さん、warmer warmer さん。
”「美しく、おいしい」
そのことだけが、もう、すべて。
胃袋を満たすだけの話ではなく、からだのぜんぶ、感覚のぜんぶ、僕らが先祖になるという事実、
その全てに、色、景色、想い、音楽、言葉、を受け取ってしまうのです。”
(p.23より)
日本では約1パーセントしか流通していない
「古来種野菜」と日々むきあい、思考する彼ら。
*
面白いのは「大根の多様性」
私たちが普段たべている大根。
あたり前だけど、大根にとってそこは
花を咲かせ、種をつくる養分を蓄える大事な場所。
収穫せずにおくと、白や黄色のちいさな花をたくさんつける。
緑のさやをつけ、種をつくり、枯れ、土に戻る。
シンプルで美しい、一年の命。
地方ごとに、大根の姿はまったく違う。
長ーい小田部大根、大きなかぶみたいな桜島大根、綺麗な紫色の雲仙赤紫大根。
気候や土地によって、衣服を変えるようなものなのかも。
「食べる」ための野菜という認識だと
おいしさや栄養、安全性など
どうしても自分視点の知識に囚われてしまう。
視点を「野菜」のほうに寄せてみると
ふつうの野菜が美しく、面白くなる。
*
「オーガニック」という与えられた枠組みは一旦そばにおき、
野菜ひとつひとつの美しさ、おいしさを感じとる。
その美しさをどう保ち続けていくのか。
根本はどこまでいっても、自分自身の感覚にあるのだ。
美しい野菜の写真、マインドマップに書かれた生の言葉から
その素敵な姿勢が窺える・・・
一緒に立ち止まって「オーガニック」を考える本。
ぜひ!