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民俗学の思考法 <いま・ここ>の日常と文化を捉える

1,980円

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岩本通弥 ほか 2021年 慶應義塾大学出版会   四六判 ソフトカバー 264ページ  ーーーー 【出版社より】 いま・ここにある人びとの生を、その生活や日常、文化を、 ミクロな視点と同時代の世相や社会との絡みのなかで捉える民俗学。 だから、SNSも科学技術もグローバリゼーションだって扱う。 民俗学の基本的な考え方を初学者向けにわかりやすく解説する、決定版テキスト! 民俗学の重要な概念や人名、理論、事例などを丁寧に解説するキーワード集36を収録。 【目次】 第I部 〈いま・ここ〉を捉える思考法 第1章 生きるための民俗学へ――日常とヴァナキュラー 第2章 過去に縛られながら未来に向かう――世相と歴史 第3章 文化を伝え、演じ、作り出す――芸能とパフォーマンス 第4章 ソーシャルメディアは伝承母体になりうるか――ハナシとメディア 第5章 暮らしのなかのブラックボックス――科学技術とフォークロア 第6章 モノを使う、モノに使われる――生活と生態 第7章 何も信じられるものがない時代の宗教性――信仰と実践 第8章 なぜ文化を遺しておかなくてはならないのか――文化遺産と制度 第9章 災害多発時代に命と暮らしを守る――防災・減災と復興 第10章 超高齢時代のまちづくり――地域コミュニティと場づくり 第11章 変わりゆく家族のかたち――親族とつながり 第12章 グローバリゼーションとモビリティ――移動と越境 第13章 着て、食べて、住まい続ける――生活と衣食住 第14章 新しい生き方と死に方――人生と儀礼 第II部 現代民俗学を読み解くキーワード36 1 民 俗 2 文化の伝達 3 中央と周辺 4 日 常 5 伝統とイデオロギー 6 ヴァナキュラー 7 都 市 8 世 相 9 民俗学の人間モデル 10 自治と互助 11 ノスタルジーと郷土 12 近代化 13 ジェンダー 14 文化人類学と民俗学 15 教 育 16 フォークロリズム 17 ネット社会の民俗 18 美 19 ライフコース 20 語 り 21 記 憶 22 自 然 23 宗教的なるもの 24 ケ ア 25 地 域 26 公共民俗学 27 世界の民俗学 28 フェス・イベントと祭り・行事 29 文化政策 30 フィールドワーク 31 エスノグラフィー 32 働 く 33 差 別 34 地域差/地域性 35 サブカルチャーと民俗学 36 複数の民俗学 ーーーーーーーー 【感想文】 民俗学、ときくと思い浮かぶのは 古くから伝承されてきた民話や民謡、おまつりといった儀式など。 「近代化」以前、風土にあった生活の遺産を想起させる。 なんとなく最近、 「民俗学」「フォークロア」「文化人類学」というワードをよく見かける気がする。 柳田國男とか折口信夫とか宮本常一とか。 ビッグネームの本をざっと見ても なんか自分のものになっている気がしないなぁ。 と、思ったときに手に取る本。 * そもそも民俗学とは 18世紀のドイツにはじまった新しい学問。 ヘルダー(1744−1803)がドイツの民謡の収集を行いはじめたのが最初の「民俗学」であった。 時は、フランス革命以降のヨーロッパ。 啓蒙主義が力をもちはじめた時代である。 「民衆」に合理的な精神を身につけさせることが、 知識人階級たちのミッションであった。 それまで日常的に営まれていた農村的な慣習は、教化の対象とみなされる。 ドイツのヘルダーは、英仏が主導して行う啓蒙主義にたちむかう。 外来の思想に流されず、自分たちの生活に根ざした知恵をもって生きよう! つまり、啓蒙主義へのカウンターとしてはじまったの民俗学だったのだ。 * どこかで聞いたことのある文脈。日本でもおなじみだろう。 柳田國男は西洋文化にぶらさがる日本に警鐘をならし 「日本の源流」をもとめ北へ南へむかった。 1910年に遠野物語が出版される。 その15年後、1925年に柳宗悦らは民藝運動を始める。 「日本的な工芸」から取りこぼされた土着のものの美しさを広めるべく。 沖縄の標準語運動に反対を表明して論争をまき起こしたこともあったっけ。 日本を中心においたときの「周辺」の文化に、光を与えようとしたのが彼らだった。 カウンターカルチャーはいつか主流となり それがあらたなカウンターを呼ぶ。そんな流れをみる。 弁証法という言葉は便利だなー。 * とはいえ 普通に生活するわたしたちは そんなに物事を大きく捉える必要はないと思う。 普通と思っていたことがちょっと面白く見えてくる。 そんなポイントを学問から拾っていく。 大人の学びとはそれくらいでちょうどいい。 今でも地域の祭りで踊ったり 夏になったら音楽フェスに行きたくなるし 人とあえば挨拶をして世間話をする。 フランス革命後200年以上たった今も 一見、意味や目的のない「儀式」が続いている。 なんのために踊るの?なんのために挨拶するの? ときかれても、たぶんピンとくる答えはない。 「そんなもん」「なんとなく楽しい、心地いい」 たぶん、それだけ。それで良いのだ。 啓蒙主義者たちのいうように 合理的精神が普遍的なものだったら 現代はもう「啓蒙完了!」って感じだろう。 目的に沿った正しい生活をおくるニンゲン。に、なりきれていないのが現実。 形式や言葉は変わっても 合理的になりきれない精神性が、「儀式的なもの」にあらわれている。 自分の中に歴史的な時間が流れているんだと思うと面白い。 * 現代の普通の生活を、民俗学的な切り口で捉えてみる。 本書は、そういったあたらしい民俗学知の入門書である。 全14章から成り、各章はだいたい10ページほど。 読みやすくて、発見の面白さがあり、ちょっと深堀りできる良書です。 ぜひ。

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