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アマゾン資料館 監修
山口吉彦 文
山本康平 写真
2022年 八燿堂
四六判 ソフトカバー 144ページ
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【出版社より】
仮面、頭飾り、籠など、南米アマゾンの先住民たちの暮らしの日常から生まれた民具約120点をカラー掲載。アマゾンの歴史文化の国際理解と国際交流に寄与した、元アマゾン民族館の館長で文化人類学者の山口吉彦氏が、1970年代より収集した2万点超のコレクションから厳選して紹介します。
〇目次
刊行に寄せて
1 装う
2 営む
共生の遺産 山口吉彦=文
図版解説
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【またたび文庫の感想文】
1942年生まれの文化人類学者・山口吉彦さん。
幼い頃は、アマゾン探検記に読み耽る。
大学時代にパリの博物館でみつけたレヴィ・ストロースのコレクションに衝撃を受ける。
山口氏は、このような原体験をもとに文化人類学の道を志し、リヨン大学へ。
1967年よりアジアやアフリカ地方をめぐるフィールドワークへでかける。
訪れた国はのべ85ヵ国にもわたる。
はじめてアマゾンに足を運んだのは1971年のこと。
ペルーとブラジルの国境付近に住む「ウィトト族」の集落へ、二週間滞在した。
ひとびとが自然の営みので生きる術に感銘を受けた彼は
そのために使われる道具の収集をはじめる。
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その10年後の1981年、山口さんは地元・山形県に戻っていた。
自宅収蔵庫を「アマゾン資料館」として開放し、
一階では語学サロンの運営もはじめた。
1991年、旧朝日村(現・鶴岡市)が
山口さんのコレクションを展示する「アマゾン自然館」をオープン。
1994年には、鶴岡市が新設した出羽庄内国際村にて、「アマゾン民族館」も開館。
山口さんのコレクション約1万点がおさめられた。
一時は年間16万人の来場者数を記録するほどの人気であった。
ところが行政の財政カットの波にあおられ、2014年に閉館。
現在では「一般社団法人アマゾン資料館」として
全国のギャラリーや博物館での展示活動をおこなっている。
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安易に「自然保護」が謳われる今日の世の中。
わたしたちは
自然と人間のあいだに線を引きながら発展を続けてきた。
カラフルな色合いが特徴的な、アマゾンの先住民の帽子や弓矢。
彼らが住む森に生きる、色彩にとむ鳥たちの姿が思い浮かぶ。
ほかの命を奪いながら、自らの生を続けていく。
「自然とともに生きる」とはただそれだけのこと。
生態系の循環、生死の連鎖の中で、ただ生きているだけなのだ。
そこでは「自然」に対する支配も保護も生まれない。
本書に掲載されているのは123点の民具の写真。
山口さんの膨大なコレクションの中から厳選された
「生活にまつわる道具」である。
アマゾンに生きる人々のすがた、豊富な生き物、ジャングル。
それら生態系のすべてが
目の前に溢れでてくるような、生き生きとした民具の数々。
ぜひ、じっくり味わってください。