

稲尾教彦
2023年
四六変形判 ソフトカバー 165ページ
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昨日に引き続き、稲尾さんの詩集をご紹介。
『涙の歌』から13年後、
ことし6月に発行されたのが
『ひかりのなかのこども』。
職業作家さんたちは、恐ろしく早いスパンで新刊を出すけれど
稲尾さんは
じっと自らの詩と向き合いつづけてきた。
13年間という時間の濃密さは、とても想像しがたい。
本書のあとがきには、こう記されている。
”わたしのもとに降りてきていた詩は、わたしを導き、高めてくれるものでした。
いつしか、詩が、降りてこなくなり、わたしは、精神の枯渇に陥りました。
それは数年続きました。
けれども、ある時から、わたしは、みずから詩を書くようになりました。
この詩集は、そうして意識的に描き始めた時期からの詩群であります。”
*
本書に収録されているのは色鮮やかな詩たち。
「群青」、「青い林」、「春の海」、「雪の青」、「夕立」、「雫」。
淡いピンクやオレンジ、緑、青につつまれた日々の風景が目に浮かぶ。
前作の詩では悲しさとして表現されていた部分が
一周回って愛おしいものに変わったのだろうか。
そんなことを思った。
*
生活拠点を長崎から北海道伊達に移されてから、
8年がたったという稲尾さん。
あっというまですね〜と朗らかに笑っていたけれど
その言葉以上の何かが詰まっていたようにも感じた。
帰り際だったのであんまり深く聞けなかったのだけど・・・(いつもそう、、、)
両方の詩集をみくらべるのは楽しい。
自分ひとりでも朗読するのも良い時間になる。
うつくしい装丁と挿絵に触れるだけでも、心が潤う。
いつかまたたび文庫でも朗読会できたらなぁ。と思っています。ぜひ〜。