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藤原辰史 著
共和国 2021年
12.6 x 1.9 x 17.6 ハードカバー
288ページ
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【出版社より】
「食べものって、単なる死骸のかたまりなんですか?」――コピペ時代の「食」の歴史/物語。
ナチス時代の人びと、あるいは明治時代の貧民窟で暮らした人びとは、何を食べていたんだろう? 原発やTPPで揺れるわたしたちの食生活は、これからどうなっていくのだろう? ホコテンと公衆食堂が必要なわけは......? 歴史の細部から新しい物語をつむぎだし、エネルギーや生命倫理、生活文化 をめぐって、わたしたちに共考をうながす多彩なテクストを集めました。『ナチスのキッチン』で一躍脚光を浴びた著者と一緒に、これからの「食」や「農」のあり方について考えてみませんか?
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【またたび文庫の感想文】
東ドイツの食と農業史の研究をされている藤原辰史先生。
『分解の哲学』、『縁食論』『植物考』など、多彩な文筆活動でもよく知られる。
本書は、藤原先生による短い論考や随筆をまとめた一冊。
*
食べること について
私たちは普段「美味しく、栄養をとる」という意味で受け取ることが多い。
ところがひとつ視点を裏返すと、食べることは
「生き物を殺して加工する」行為の延長にある。
生き物の殺生にかかわる行為は
差別などというかたちでひた隠しにしてきたのが人間の歴史である。
そして食べること が商品化された今。
「美味しい 健康に良い 環境に良い」
食に関するポジティブな側面は、広告宣伝にのって付加価値となる。
「母の味、家族みんなでたべると美味しい」
という観念は事実であるが、
仕事も育児も忙しく疲れ果てた母にとって
その「付加価値」はプレッシャーとなる。
*
わたしは、もしや、広告を食べているだろうか??
そんな問いを投げかけられる藤原先生の論考集。
商品として、気軽に食べ物が手にはいるありがたい時代。
食べること は依然として、
「生きものを殺し、自分のエネルギーとする」
行為であることに変わりない。
いま一度その本質にたちかえりつつ
農業史や戦争の歴史、現代社会の諸問題に切り込む文章。
ぜひ!