
DRAWING AND MANUAL 著
玄光社 2023年
A5判 ソフトカバー
256ページ
¥1980
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【またたび文庫の感想文】
動画制作/PR会社「ドローイングアンドマニュアル」が地方でおこなってきた仕事をまとめた一冊。
まず目に飛び込んでくる帯に「白老」が・・・!
いち住民としてはやはりウレシイ。
個人的に地域ブランディングというと
あまり聞こえがよくない感じをもっていた。
スーツ着た東京の人が
「自然、食、伝統が豊かなまち」
という大文字のキャッチコピーをもってきて
とりあえず綺麗なクリエイティブつくって・・・
みたいなイメージ。
本書に書かれている
ドローイングアンドマニュアルさんの仕事は、その真逆。
「自然豊か」みたいな「大文字」の視点を外すところから、
彼らの仕事ははじまる。
*
じゃ、どうやって?
まず、まちに事務所をつくり、自分たちの足であるいて情報をあつめる。
よそ者の目からみるとどう映るか?という観点にかなり自覚的な彼らのリサーチ内容がとてもおもしろい。
地元の人だけでは見えないまちの良さにも気づく一方、現状のPR施策のだめなポイントも浮き彫りになる。
「現状を変えたいけど、どうすればいいかわからない」
「本質的に変わるのは面倒くさい」
複雑な思いを抱えている地元の役場職員との議論や協働もアツい。
徳島での「VS東京」施策、つくばみらいの「100年愛される地元」、白老の日常をうつした「僕と、先輩と、初夏の白老」。
地域ブランディングとひとことで言うけれど、いざ蓋をあけると中身はこんなに多様だったのか・・・という気づきを与えてくれる。
事業規模の大小にかかわらず、それをやる理由と、個人の熱意が詰まっている。
リサーチ、コンセプトづくり、制作、発表、結果までのプロセスも超具体的に書かれている懇切丁寧な本。
地方を軸に仕事をする人たちみんなに手渡したい一冊です。
ぜひ。
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