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成人式 SEIJINSHIKI

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赤々舎 2011年 A5判 ハードカバー 75頁 【古本】 ------------- 【またたび文庫の感想文】 フランスの写真家シャルル・フレジェによる、 日本の成人式をテーマにした写真集。 中世ヨーロッパにおける古典絵画の一派に “ヴァニタス”というものがある。 おもに表現されるのは”生のむなしさ”。 頭蓋骨などをモチーフに描かれる作品には 死にたいする恐れを喚起させられる。 貴族のあいだでは、「メメントモリ」(死を忘れるな)、 死生観にまつわる芸術作品が流行っていたそうだ。 いつか来る死の定めを待つ生とは、なんと虚しいことよ…、 そういった悲壮感から脱するべく、 生きる喜びを探すのが人間というもの。 フランス生まれの写真家 シャルル・フレジェの眼にうつる「成人式」は、 「ヴァニタス」的な、 空虚な生を表す儀式そのものだった。 振袖と白いファーを身に着け ピースサインをする女性たちのポートレイト。 背景には「日本的な風景」が合成されており 徹底してキッチュな見せ方になっている。 現在の日本の成人式は、1949年の祝日法制定に際して定められた。 戦後に一地方で行われていたイベントを 全国に波及させたものである。 皇室由来の儀式とはあまり関連性がないため いわゆる「伝統文化」とは違う。 大衆文化的な側面が強いイベントなのだ。 最近では、お祭り騒ぎ的な側面が 「モラルの低下」とよく叩かれる。 だがむしろそこまでが、毎年恒例のように感じてしまう。  ふだんは秩序を守る日本人が、 イベントではここぞとばかりにハメを外す。 最近では渋谷のハロウィンなんかがそうだろう。 このダブルスタンダードをなんとなく受け入れているところが 日本人的な価値観であり、 エネルギー発散の場所を探しもとめる若者たちの ”空虚な生”が表れている場面なのかもね。

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