



著:川瀬 慈
Book design:木村稔将
表紙・挿画:平松麻
赤々舎 2024年6月
四六判 ハードカバー
152ページ
-------------
【出版社より】
パンデミックや戦渦の時代 ──
足を止め、耳を澄まし、向かい合う、見晴らしのよい時間。
イメージの生命と共振し、
すべての境界が融解した場所に立つ
遠く離れた旅に出遭う人々の在りよう、周縁にも想いを凝らし、存在の痛苦、創造性、したたかさを抱き込みながら、その交感から立ち上がる詩を、映像や文章として作品にしてきた映像人類学者 川瀬慈。
本書は、長く続いたパンデミックの時代に、気ぜわしい日常のなかで希薄になりつつあった"イメージの生命"とのつながりを再び確かめ、その聖域の奥へ奥へとイマジネーションの潜行を試みることから生まれた。
日々の営みのあちこちにその入り口を持ちながら、人が太古より祈りや歌を通しても交流を重ねてきた、見えるものと見えないものの真ん中に息づくその場所へ──。洞窟壁画を模写した水彩画、歌、エチオピア移民のコミュニティ、イタリア軍古写真との遭遇── イメージの還流に揺さぶられながら、著者の野生のまなざしは、見晴らしのよい時間へと通貫していく。
ちりばめられたイメージの神話の種子に、平松麻氏による挿画も息を吹き込む。
時間、場所を越えて共振しながら、この時代にさらなる歩行を促す、祈りと生命の兆したち。