
著者・川井俊夫
装丁・川名潤
写真・佐伯慎亮
素粒社 2023年
四六判変型
ハードカバー 208頁
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【出版社より】
「俺はこの町で一番頭が悪く、なんのコネやツテもなく、やる気も金もないクソみたいな道具屋だ」
関西某所のとある古道具店。その店主は、かつてブログが登場する以前のインターネットで多くの読者を魅了した伝説のテキストサイトの著者だった――中卒、アングラ商売、アルコール依存症、ホームレスなど破格の経歴をもつ道具屋店主による、金と汗と汚物と愛にまみれた“冒険”の数々を、唯一無二の文体でつづった痛快私小説。
「俺だけのルールがある。俺専用のやつがな。誰だってそうだろ? 俺たちは世界のすべてを全員で共有してるわけじゃない。たまに交錯したり、部分的に共有してるだけだ。だから自分の世界を生きるのには、自分だけのやり方がいる。他のやつのやり方じゃダメなんだ」
<目次>
朝の七時三十分に携帯電話が鳴る…
世界というのは誰のどんなものでも複雑だ…
店のシャッターがバラバラの木っ端微塵になったのは…
店の扉を開けて、誰か入ってくる気配がした…
宅配便屋の倉庫の仕事は日銭を稼ぐのに一番簡単な方法だ…
こいつについては話すと長くなる…
道具屋というのは秘密の多い商売だ…
こいつは詐欺師のジジイだ。間違いない…
「十二月十三日に真鍮のイスを買った母娘、連絡求む」…
男の名は延倉という…
「あれは、どういう人の作品?」…
呪いというのは悪意を具現化したものだ…
今じゃ自分でも信じられないが、俺には会社員の経験がある…
赤いネオンで縁取りされた十字架が夜空に浮かび上がって見える…